ふっふっふっ、なぜ?

気づくとおもしろい生き方

犬のかんた君に会いたい❗

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子供たちが小さい頃、近くのショッピングセンターへ連れてお買い物へ行きました。

そこの駐車場で、たまたま犬の里親さがしをやっていたのです。

ダンボールの中にいたのは、雑種の子犬が6匹、「ピーピー」泣きながらうごめいていました。

娘は買い物にも行かず、動こうとはしません。
買い物を終えても帰ろうとしませんでした。

「帰るぞ」

「いやだ、連れて帰る❗」


その日から我が家に家族が1匹増えたのでした。

早速子供たちは名前を決めるのにケンカが始まっていました。
アニー
マイク
ブレッド
ダビンチ

どう見ても日本の雑種。
「かん太」と名付けました。

どこのドッグランに行っても、血統書付きの外来種ばかりで、うちのかん太君だけが雑種でした。

あまりの可愛さに皆さんが「何犬ですか?」とかなりの人に聞かれましたが「ミックスです」と答えると皆一様に『なんだそうか』といった顔でそそくさといなくなってしまいました。

大きくなればなるほど雑種であることが明確になっていきました。そんなことは全く気にせず、
月日が経つとホントに家族の一員になりました。


庭の一角に居を構え、かん太君は立派な番犬として、我が家になくてはならない存在になっていました。

子供達は学校に行く前に必ず、かん太君をいい子いい子して、かん太君にヒトペロリされてから登校するのが日課になりました。

夕方、子供達が帰ってくるとそれはそれは喜んで迎え入れてくれるのです。

エサやりはみんなで交代でやりました。
みんな食べ終えるまで戻ってきません。

散歩に行けば、かん太君はみんなの愚痴聞きです。
『そうか、そりゃ大変だね』
『良いことがあるさ』
かん太君にペロリと手をなめられてというか、なぐさめられて散歩から帰ってくるのです。


そんな日々が5年ほど続きました。

早朝、かん太の変な鳴き声で目が覚めました。

聞いたこともない悲痛な鳴き声でした。

いつもと寝ているところではなく、ウッドデッキの下でこちらにお尻を向けて横たわっていました。

いつもなら玄関の音で出て来て、尾っぽを振って待っていてくれるのに、全く動いていないのです。

おしりの辺りには血が見えました。

「おいどうした、かん太❗」

かすかに顔をあげましたが、妙な唸り声しかあげません。

獣医さんに電話しましたが、まだやってないようです。

子供達の登校時間に合わせてみんなで素早く朝食をとりました。


するとどうしたことでしょう。

かん太は最期の力を振り絞り、いつも子供達を見送る定位置まで出て来ていたのです。
歩いた後には血のあとが付いていました。


子供達は泣きながら「帰ってくるまで生きてろよ❗」と口々に言いながら登校していきました。

かん太君の目の焦点が合っていません。
必死に見送っていました。

私は仕事を休むことを決意し、かん太に寄り添いました。

一番下の子が登校していくのを確認したかん太は頭をもたげることもできず、鼻を地面に付けたまま動かなくなりました。

急いで抱きしめ動物病院へ行きました。
「生きてくれー、生きてくれー」

心の中で神様に祈りました。


もう、虫の息でした。


先生が心臓を一時間もおし続けましたが、
かん太は帰ってきませんでした。

散歩のときに除草剤をなめたのが原因ではないかとのことでした。



家族のなかに大きな穴がポッカリあいてしまいました。
トイレにいても台所にいても、かん太がチョロチョロしているようで不思議な日が続きました。

子供達にあのあとのことを伝えるとみんな泣いていました。

かん太君は私たちにとても大切なことを教えてくれました。

もういなくなって6年も経ちますが、未だにかん太に会いたくてたまりません。


かん太、出て来てまた手をペロリしてくれよ。