ふっふっふっ、なぜ?

気づくとおもしろい生き方

悪い人ほど悪そうな顔でいてほしい件

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若い頃九州の田舎のパチンコ屋で知り合ったオッチャン。
一緒にスナックに呑みに誘われた。

「おー、わけーの、まあ呑めや」

ふたりで呑んでいると、恐そうなオッチャンの部下らしき面々が入ってきては、耳打ちして出て行った。

「ところで、オッチャンさあー、なにやってる人なんですか?」

私が聞くと

「裏の世界の人間だよ❗」

ということは、、、


確かに怖い顔してる!


数日後、またパチンコ屋で顔を合わせた。

「おー、わけーの、今度運動会あるから来てくれねーか?」

なんだかわからないが、行くことにした。


日曜日。ある高校のグランドを借りきって凄い人。

『ん?』


見ると派手なおねーちゃんやら怖い顔のおじちゃんがたくさん。

いつものオッチャンが中心にいた。

どうもオッチャンはヤク◯の親分さんらしかった。


「おー、わけーの、来てくれたかい、あんた本町通りの応援団長たのむぜ!」


わかってきたことが、いくつかあった。

1 私の呼び名は、「おー、わけーの」であること
2 この運動会はいわゆる彼らが管轄する島ごとに組分けされていること
3 オッチャンは親分であること


いよいよ運動会が始まりました。
派手なおねーちゃんたちも何故か手を後ろ手に縛られパン食い競争のパンをかじっていた。

縛りかたがやけにうまい!

よくよく聞くと本町通りは1度も優勝したことがなかったそうだ。

樽酒をしこたま飲まされた私はヘロヘロになりながらも応援団長を一生懸命やりました。
しかも知ってる人は誰もいないという状況の中です。

そしていよいよ最後の種目、学校のまわりをナゼか3周するというクライマックス。

種目のたびに組のぶちょーみたいな怖い顔した人がいて、「次はアキコがはしれ」だの「よしおマスターが行け」だの指示を出していた。

私は応援団長だし、もうヘベレケなので大丈夫だろうと思っていたら

「おー、わけーの、次行ってくれ」

よりによって、次の競技というか罰ゲームというかこれに一番を取ると、長い歴史のなかで初めて本町通りは優勝するのだという。

走るのは得意だった私は、とはいえもうヘベレケなので、破れかぶれで走った。

途中何度かゲロをゲーゲーやりながら、
なんと一番でもどったのです。

本町通りは大騒ぎ。キレイなおねーちゃん達からチュー💛してもらえました。


それ以来本町通りではほぼタダで飲ませてもらえるようになりました。

それからオッチャンはとても良くしてくれました。

しかも、とても紳士でした。




その当時、チンピラや威勢のいい街の悪い奴らはみんな悪い、恐そうな顔をしていました。

目を合わせると「テメー俺にガンつけやがったなー!」と因縁をつけられ、ボコボコにされたものでした。

猫にまで学ランを着せて、ナメネコなんてのもあったぐらいです。


でもでも今から考えると、俺は怖いやつだからなめんなよ。っという自らの主張だったと思います。

今の世の中のように匿名でネットに人の悪口書いたり、告げ口したりしてるよりは、とても健全な世の中だったと思います。


おまけに殺人の犯人をテレビで見ても、ごくごく普通の顔をしてるではありませんか。


オッチャンはよく言ってました。

「かたぎの人のほうが、俺たちよりよっぽど残酷でこわいよ」と。